International Journal of Myeloma
Online ISSN : 2187-3143
総説
多発性骨髄腫の分子病態
花村 一朗飯田 真介谷脇 雅史
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2013 年 3 巻 1 号 p. 35-46

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抄録

多発性骨髄腫(multiple myeloma; MM)は,形質細胞性の腫瘍で,複数のがん遺伝子の活性化やがん抑制遺伝子の不活化により発症・進展する。MM分子病態としては免疫グロブリン領域(immunoglobulin: IG)転座によるがん遺伝子の活性化が重要であるが,病態形成にはさらに多くの遺伝子・染色体異常のほか,エピジェネティック変化,micro RNA,骨髄微小環境などが複雑に関与している。近年,次世代シークエンサー(next generation sequencing technology; NGS)による全ゲノムシークエンス(whole genome sequencing; WGS)が可能となり,MMにおいて想定以上に多くのゲノム変異があることが判明した。WGSにより,タンパクホメオスタシスやヒストン修飾などに関連した遺伝子群に変異があることや,患者個体内におけるゲノム変異の不均一性,IG転座発生時期などが明らかとなった。またNGSにより患者個々の詳細なゲノム異常の同定が可能となり,現在盛んに行われている新規分子標的薬の開発とあいまって,MM個別化治療の試みはますます広がるものと思われる。MM分子病態の解明やその理解に基づいた治療戦略の検討・考案は,治療成績向上におおいに貢献できる。本稿では主に,MMにおける代表的な染色体異常やそれらの生物学的臨床的意義,NGSから得られた知見などについて概説する。

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© 日本骨髄腫学会
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