医療と社会
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研究ノート
医師の進路選択に関する考察
開業志向に注目して
真野 俊樹小林 慎井田 浩正山内 一信藤沢 弘美子塚原 康博
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2004 年 14 巻 2 号 p. 2_85-2_102

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抄録
 日本では医師希望のものは医学部を卒業しないと医師国家試験の受験資格が与えられない。また,日本の医学部は一部学士入学があるにせよ,米国などとは異なり,高校を卒業した時点で,医学部医学科入学を決定している。また,医学部に入学したもののほとんどが医師国家試験を受験して医師になるので,医学部への入学動機,あるいは医学部学生時代の意思が,研修等を経るにせよ医学部を卒業してからの行動にも大きく反映されると思われる。今回われわれは,これらの背景から,学生の進路選択,なかでも開業志向に着目して,医学部学生にアンケートを行い,医学部学生の進路選択(開業志向)にどのような因子が関係しているのかを調査した。
 その結果,(1)医学部学生は,女性と比べ男性,父親が他の職業と比べ,開業医である場合,医学部への入学動機が高収入にある場合に,将来の進路として開業医を選ぶ傾向があることが示された。また,年齢による勤務場所の希望についてまとめてみると,(2)女性と比べて男性,そして医学部の入学動機として人命救助を重視し,仕事の安定を重視しない場合に,40歳時,50歳時,60歳時における勤務形態として大学勤務を希望する傾向がある。また,(3)女性と比べて男性ほど,そして父親の職業が開業医である場合に,40歳時,50歳時,60歳時における勤務形態として開業を希望する傾向がある。この結果は,病院勤務の場合と正反対である。
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© 2004 公益財団法人 医療科学研究所
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