医療と社会
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個票データを用いた病院倒産分析に関する予備的考察
山本 克也
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2004 年 14 巻 3 号 p. 3_81-3_96

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抄録

 本稿では「医療施設調査」の個票データを利用し,病院の倒産確率の測定を行なった。「医療施設調査」は非財務データであるが収支の代理変数を抽出しプロビット分析を施して,病院の倒産事由の代表である放漫経営と販売不振を検討した。収入項目である病床に関しては,現在のところ,慢性期患者向けの病床を保有することは固定収入の確保につながり,倒産確率は下がる。一方,外来患者については倒産確率を引き下げる効果を持たない。入院の赤字を外来で埋める式の経営は成立しないので病床管理は重要である。一方,診療機器については,その需要予測はもちろん,普及期をすぎれば診療報酬は下がるということも勘案して導入しなくてはならない。販売不振については,医療需要の飽和ということも考えられるが,患者のニーズと病院の設備事態,有り様がミスマッチになっている可能性もある。すべての病院(医師)が最新の医療,高度医療を行なう必要がないことを病院経営者は銘記すべきであろう。

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© 2004 公益財団法人 医療科学研究所
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