医療と社会
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研究ノート
イギリスの病院経営における経営参加とコーポレート・ガバナンス
―ファンデーション・トラストの情報開示・透明性―
小島 愛
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2006 年 16 巻 2 号 p. 213-226

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抄録

 今日のイギリスでは,先進的な病院が,世界で注目されている「企業不祥事の防止」と「企業競争力の強化」とを目的としたコーポレート・ガバナンス改革を実践している。そこでは,潜在的な患者である地域住民が,評議会と理事会との運営に積極的に関与し,病院の経営者によるコーポレート・ガバナンス改革に貢献している。
 本稿では,ファンデーション・トラストにおける経営構造を明らかにするとともに,経営機構改革(狭義のコーポレート・ガバナンス)の内容に加え,情報開示・透明性の向上(広義のコーポレート・ガバナンス)に関する現状と課題を浮き彫りにしている。特に,情報開示・透明性に関しては,ほとんどの病院において,年次報告書などの詳細な開示がすすみ,コーポレート・ガバナンスとコーポレート・ガバナンス原則に関する記述もみられる一方で,独立監査人の意見や各々の病院で抱える問題点の未掲載などの課題が浮き彫りになった。
 ファンデーション・トラストでは,今日における日本の病院にとって少なからず参考にできるコーポレート・ガバナンス改革が展開されている。今後は,コーポレート・ガバナンス改革の実践後に行うべきことも視野にいれて,最終的に,患者が医療現場において最善な医療をうけられる手段を考えなくてはならない。具体的には,コーポレート・ガバナンスの効果をいかに医療現場に浸透させるか,また,コーポレート・ガバナンス改革を可能とする経営構造をどのように作り上げるか,といった体制づくりに関する検討が重要であろう。

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© 2006 公益財団法人 医療科学研究所
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