医療と社会
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特集論文
バイオベンチャーの活動に関する日米比較分析
元橋 一之
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2007 年 17 巻 1 号 p. 55-70

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抄録
 米国と比較して日本のバイオベンチャーの活動は遅れているといわれている。本稿ではこの点について日米のバイオベンチャーに関する企業レベルデータ(日本については443社(うち上場企業12社),米国については1,446社(うち上場企業431社)の2004年時点データ)を用いて定量的な分析を行った。分析結果によると,まず日本におけるバイオベンチャーは設立からの年月や技術分野をコントロールしても米国企業より相当程度規模が小さいことがわかった。また,日本のバイオベンチャーは時間とともに企業が大きくなっているのに対して,米国企業は設立年によって規模は大きく変わらない。これは日本のバイオベンチャーは米国と比べて比較的新しい企業が多いことから規模が小さいのではなく,そもそも事業モデルが違うことを示唆している。更に,米国のベンチャー企業はリスクが比較的高いといわれている「医療・健康」分野において飛びぬけて多額の研究資金を投じているのに対して,日本においては総じて研究開発費の額が小さく,技術分野による違いがみられなかった。つまり,日本のベンチャー企業はリスクの高い研究プロジェクトに多額の研究資金を投じるのではなく,低リスク分野で研究サービスなどの「日銭」を稼ぎながら事業を行っているということである。このような日米のバイオベンチャーの違いの背景にはベンチャーキャピタルなど資金環境が異なることの影響が大きいのではないかと考えられる。
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© 2007 公益財団法人 医療科学研究所
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