医療と社会
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特集論文
日本の医薬品産業の統合過程は戦略的意思決定の結果か?
青井 倫一
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2007 年 17 巻 1 号 p. 91-100

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抄録
 日本の製薬市場において日本企業の合併(M&A)の動きが活発になってきた。“ニッチ市場に特化するには,企業サイズが大きすぎ,グローバル市場でのR&D戦略の遂行を単独で行うには企業サイズが小さすぎる”企業同士の合併という批判が一面で存在する。
 このような海外製薬メーカーのダイナミックな動きに対して“遅れてきた感”はあるにしても日本製薬業界の再編の要因を,それに先立つ医薬品卸業界の再編の分析の示唆を踏まえて分析する。ことに経済要因というマクロの分野より,マネジメントの意思決定,ことに不確実性の下の戦略的意思決定というミクロな分野に焦点を当てて分析している。日本製薬業界の再編の動きは,現在では評価するには早く,この次の戦略展開如何が今回の企業行動の評価を左右するであろう。そしてその評価基準は,異なる地域市場での競争優位性を確保できるか,パイプラインに十分の製品を確保できるか,そして新製品開発・市場導入において規模・範囲の経済を発揮できる体制を構築できるかが今回のM&Aの動きが貢献したかに依る。
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© 2007 公益財団法人 医療科学研究所
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