医療と社会
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研究ノート
特別養護老人ホームにおける介護職員定着化に関する研究
濱本 賢二
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2011 年 21 巻 1 号 p. 69-83

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抄録

介護労働者の高い離職率の原因として,本稿は「低賃金」と「人手不足」に焦点を当て,その対処法を検討した。特別養護老人ホームを対象として,制度,法令,施設設置・運営にかかる費用,収入財源等を詳細に踏まえたうえで事業者の供給行動を分析した結果,(1)借入れに多くを頼った過大な施設建設が,借入金償還費用を通じて人件費を圧迫している可能性,(2)事業者が社会福祉法人会計を正確に理解していないために,将来必要経費を過大に見積もり,収支差額を過剰に獲得しようとして人件費を圧迫している可能性,(3)事業者のオーナーが私的利益を得るために人件費を圧迫している可能性,そして,(4)人件費削減の方法は,非正規化と兼務化であり,これらによって「低賃金」と「人手不足」がもたらされること,を明らかにした。以上により,介護職員定着化の方策として,無理のある施設整備計画に対する行政や金融機関の積極的関与,獲得すべき妥当な収支差額の行政による助言,介護職員の正職員化および定着化を図った事業者に対する収入面でのメリットの付与などが必要と指摘できる。

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© 2011 公益財団法人 医療科学研究所
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