医療と社会
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特集:人生の最期をどう生きるか,どう支えるか,どう迎えるか
高齢者ケア政策の実践
柏プロジェクトからの報告
辻 哲夫
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2015 年 25 巻 1 号 p. 125-139

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抄録
日本においては世界に例のない高齢化が進んでいる。とりわけ,団塊の世代が後期高齢者(75歳以上の者)になる2025年を一つの目安として社会の常識やシステムの変容が迫られている。
具体的には,誰もができる限り自立を維持する予防政策の展開が今後の王道である一方,誰もが人の世話になるような虚弱な期間を経て死に至るのも普通となった中で,地域でその人らしく生活し続け,生きていてよかったと言えるような生活の質を確保することが,大きな課題である。
それを実現しようとするのが,地域包括ケアシステムであり,本稿では,地域包括ケアの理念と意義を確認したうえで,その具現化を目指す実践モデルとしての柏プロジェクトの構造と手法を紹介する。そのポイントは,在宅医療を含む多職種連携の推進と24時間対応の在宅医療・看護・介護サービスを併設した拠点型のサービス付き高齢者向け住宅の整備である。
併せて,医療介護の総合的な確保に関する今回の制度改正を実施していく上で大きなカギとなる在宅医療・介護の連携を推進する事業の具体的な進め方について,柏プロジェクトの実践を念頭に置きながら説明し,終わりに,我々のライフスタイルと意識も超高齢社会にふさわしいものとなるよう変革することが求められていることを訴えている。
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© 2015 公益財団法人 医療科学研究所
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