医療と社会
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〈特集〉子どもをめぐる諸課題を考える―少子化問題を中心に―
ダブルケア(ケアの複合化)
相馬 直子山下 順子
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2017 年 27 巻 1 号 p. 63-75

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抄録

晩婚化・晩産化と少子高齢化により,「ダブルケア(育児と介護の同時進行)」に直面する人の増大が予測される。ダブルケアを広義にとらえると,「家族や親族等,親密な関係における複数のケア関係とそこにおける複合的課題」を考えることができる。

市民生活における「介護」責任の果たし方は多様化し,ケアの複合化が進行している。政府統計の狭い介護定義では現状のダブルケア実態を十分に把握できない。よって本研究では,介護の意味を幅広くとらえ,市民のダブルケア責任のあり方や負担構造,ニーズの解明に着手した。

介護・子育ての縦割り行政のはざまで,ダブルケアラー(ダブルケアに従事する人)の孤立や困難な実態が明らかになった。ダブルケア人口が一定数いることや,世帯構成,就業の有無,親の介護度,子育ての状況,介護及び子育てのサービス利用状況,夫との関係,友人及び近隣ネットワークの有無などによって,様々なダブルケアパターンが明らかになった。

「ダブルケア」とは,世代間のケアの連関のあり方から,その複合課題をとらえる一つの切り口である。この「ダブルケア」を,複数の課題や主体を引き寄せる「磁石」としてとらえ,団塊の世代が75歳以上になる2025年,さらには高齢人口がピークに達する2040~2050年に向けた支援策の開発が急務である。「自治型・包摂型・多世代型地域ケアシステム構築」のためのソーシャルイノベーションの可能性や課題を提示した。

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© 2017 公益財団法人 医療科学研究所
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