本稿は,ここ10年の間に進められてきた国内の制度改革の過程を詳細に検討したうえで,2017年の臨床研究法の成立をその到達点として位置づけるものである。多施設共同研究の増大に伴い,国際的にも倫理審査委員会の制度改革が急ピッチで進められている。国内においても,2008年に示された原則自機関への倫理審査委員会及び治験審査委員会設置義務の解除に始まり,現在ではむしろ積極的に「一括した審査」を推進するための様々な施策が進められている。
臨床研究法は,これらの施策の1つの到達点として理解することができ,これまでにない審査プロセスを実現している。従来の倫理審査委員会は,あくまでも研究機関の長の諮問機関であり,独立した判断主体として位置づけられていなかったが,臨床研究法下では研究者と倫理審査委員会は独立した主体として機能することが可能となる。これに伴い,研究者,研究機関の長,倫理審査委員会が責任を分有する仕組みがようやく日本でも始まった。この仕組みは今後直ちに他の法律や研究倫理指針にも反映されるべきである。