iPS細胞に代表される細胞を用いた再生医療分野の研究は,ヒトiPS細胞の開発が報告されてから,この10年間で大きな進歩を遂げており,その研究成果から臨床応用への期待が大きい。わが国では,再生医療の実現化に向けた大胆な法整備が行われて,世界的にも注目されている。大阪大学の研究成果によって弊社が製品化した再生医療等製品「ハートシート」は,世界で初めて重症心不全に適応できる自家細胞製品であり,この法整備によって実現することができた。これは,産官学が常に連携しながら新たな領域の実現化を目指した成果であるが,海外の先進国において実用化された再生医療の数と比べて,日本はやや遅れる状況にある。
本稿では,弊社開発の経緯と,その期間で経験した規制整備の動きや関連する情報をまとめ,これまでの法整備による開発環境の変化とその成果を整理したうえで,産業側の立場から,今後,わが国が再生医療の実用化と産業化推進を牽引するために必要となる現状課題と論点について考察した。