医療と社会
Online ISSN : 1883-4477
Print ISSN : 0916-9202
ISSN-L : 0916-9202
新型コロナウイルス感染症:対策の課題と今後の展望
PMDAでの緊急時の診断・治療手段・ワクチン規制の対応
佐藤 大作
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 32 巻 1 号 p. 37-49

詳細
抄録

PMDAでは,COVID-19関連の診断・治療・予防を目的とした様々な製品の審査を行っていたほか,開発早期からの企業・アカデミアからの相談に対応するなど,製品開発にも積極的に対応してきた。緊急事態下においても,様々な制約の中でリモート化などの工夫をしながら業務に遅れが出ないよう対応し,米国で2020年5月1日に緊急許可制度(EUA)で流通開始された治療薬「レムデシビル」が日本でも5月7日に特例承認された。また,医療現場での不足やニーズに対応した人工呼吸器の審査や,PCRの検査態勢の充実に対応するべく,PCR検査キット等の審査が進んでいった。また,PMDAは海外規制当局とも連携し,ワクチン評価の考え方を2020年9月2日に公表し,外国開発のワクチンの国内治験を含む国内申請準備が進んだ。米国で緊急許可されたファイザー社のワクチンの申請が2020年12月になされ,2021年2月14日に特例承認され,供給され,その後も5月に2つのワクチンが承認された。ワクチン発売後からの膨大な副反応疑い報告の受付も対応している。また,アビガン錠200mgの適応拡大の審査は,「単盲検試験」結果の臨床的意義が論点となり,2020年12月に継続審議となった。

著者関連情報
© 2022 公益財団法人 医療科学研究所
前の記事 次の記事
feedback
Top