医療と社会
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サービス・マーケティング理論による患者満足の構造分析
島津 望
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1995 年 4 巻 2 号 p. 111-127

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抄録
本研究の目的は, サービス・マーケティグの理論によって患者満足の構造を解明することである。アンケート調査により,患者が認識する外来医療サービスの品質の実態と,その病院の全体的満足度に対する質問項目とから患者満足の決定要因を探った。
因子分析の結果,「診察場面におけるコミュニケーション」,「高度な設備」,「時間の利便性」等を含む7つの因子が析出された。次に7 つの因子を独立変数とし,全体の満足度を従属変数とする重回帰分析をおこなった結果,次の点が明らかになった。第一点目は,医療サービスの構造は「物的投入」,「人的投入」,「同席する他の患者( 顧客)」という3要素から成り立っているが, これはサービス・マーケティングの研究から得られたサービス水準の決定要素と符合すること。第二点目は,サービスの無形性や同時性という特質,および医療サービスは消費した後にもその品質を判断しにくい信頼属性としての特質から,医療者の人的作用の側面が患者満足に大きく影響していること。第三点目に,外来における看護婦の役割は多面的であること。
以上の点から, 次のように結論できる。(1)医療のマーケティング問題は,サービス・マーケティングの理論によってとらえられ。(2)患者に対するだけでなく, 内部に向かってもマーケティング活動をおこなわなけれは患者の満足を勝ち取ることはできない。
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