医療と社会
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高齢者ケアにおける民間ビジネスの役割
岡本 茂雄
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1996 年 6 巻 1 号 p. 49-59

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抄録

公的介護保険の成立によって,はたして本当に魅力ある市場を創出されるのだろうか。また,民間営利企業がその市場において成長するためにはなにをしなければならないのか,民間営利企業はどのような役割を期待されているのかを検証することとした。在宅介護市場は,次のような特徴をもつ。1)商品特性では機能が複合されないと効果が出ない,2)顧客特性では情報からの隔離,3)市場規模では境界の不明,4)成長性では極めて有望,5)強力な競合がある,の特徴をもつ。この市場では,顧客ニーズにあった新商品サービスの開発は極めて大きな市場シェアを確保できる可能性をもつことになる。このため,顧客志向が強く開発力もある有力な企業にとっては有望な市場となる。しかし,このような優良な企業を創出するためには,ケア・マネジメントを権利構造の温床とせず,すべての供給主体に解放する必要がある。民間営利企業は,積極的な新商品サービスの開発を行いつつ,商品サービスの供給面においては高レベルのケア・プラン作成機能を併せ持つ必要がある。

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