医療と社会
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メニュー設定問題としての医薬品処方集
Richard ZeckhauserTodd Olmstead
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1997 年 7 巻 2 号 p. 73-97

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抄録

医療プランの「メニュー」にどのような医薬品が含まれるかという問題,すなわち「医薬品処方集」は,米国の医療者のほとんどが,何らかの形で活用している。だが,処方委員会が最善の配慮を払っているにもかかわらず,処方集決定のプロセスにおいては,対象人口の中の患者の割合は常に同じであると仮定し,また任意の治療クラスにおいて医薬品の相対的な効率性に関心を集中させることで,問題をあまりに単純化しすぎている。目的が医薬品予算の枠内で期待医療効果を最大化することにあるとすれば,こうした過度の単純化は次善の処方集しか生み出さない可能性がある。患者の選択を指示できるとしても,処方集には適切でない医薬品が含まれるだろう。さらに,メニュー設定問題においては古典的な問題だが,利己的な患者は(あるいはその代理としての医師は)治療効果の割に高価な医薬品を選択する可能性がある。理想的な処方集はこうしたコスト効率の悪い選択を排除することを目指すものである。本論で提示する数学的モデルは, 患者の異質性を明確に織り込んでおり,処方集について全体的な視野を持ち,患者の選択が利己的であることを想定したものである。このモデルは非常に柔軟なため,さまざまな目標やコスト構造に対応することができ,処方集決定担当者を助ける意思決定支援ツールとして活用できる。メニュー設定問題は医療分野においては処方集に限らず一般的に見いだされるものだが,恐らく最も重要なのは,医療プランや保険において提供すべきサービスを決定する場面であろう。

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