産業連関分析において、部門統合誤差の問題を回避するためにはできるだけ部門数の大きな産業連関表(すなわち基本分類IOに近いIO)を用いることが望ましいとこれまで一般に考えられていた。しかしながら基本分類IO自体が現実の多種多様な産業活動を数百部門程度の正方行列で表現したものであることを考えると、基本分類IOにおける各産業部門の中には多様な産業が統合されてできたものが少なくないと考えられる。本研究では、現実に得られるIOにおいては部門統合誤差は相対的なものであり、必ずしも部門数の大きなIOを用いることが望ましいとは限らない可能性について検討する。