2021 年 63 巻 8 号 p. 1501-1507
症例は77歳女性.心窩部痛の精査目的で行った上部消化管内視鏡検査で胃内に5病変の早期胃癌を認めた.背景胃粘膜の内視鏡所見は,前庭部には腸上皮化生を伴う萎縮を認め,胃体部から穹窿部にかけては,血管透見が明瞭で著明な萎縮性変化を認めた.血清ガストリン値410pg/ml,血清抗Helicobacter pylori(以下H. pylori)-IgG抗体3.0U/ml未満,抗胃壁細胞抗体および抗内因子抗体は陽性であった.組織学的所見では幽門腺,胃底腺ともに著明に固有腺が消失し,腸上皮化生も認めた.また,Chromogranin染色にてendocrine cell micronest(以下ECM)があり,上記所見から自己免疫性胃炎と診断した.本例は,幽門腺領域にも萎縮や腸上皮化生を伴う自己免疫性胃炎で5重胃癌を合併していた.