2021 年 14 巻 1 号 p. 32-44
目 的:臨床的な経穴特異性について検証するため、慢性腰痛と片頭痛のランダム化比較試験(RCT)のシステマティック・レビューおよびメタアナリシスを実施した。
方 法:医学文献データベースを用いて検索し、事前に定義した選択基準・除外基準に基づいて絞り込んで、経穴への刺鍼と非経穴(または通常その疾患・症状に対して用いない経穴)への刺鍼を比較したRCTを選出した。メタアナリシスはReview Manager 5.4を用いて平均差(MD)または標準化平均差(SMD)を得た。
結 果:慢性腰痛については該当するRCTが見つからなかった。片頭痛については6件のRCTが選出されたが、治療回数・期間、刺激方法、選穴、評価時点の異質性が高かった。メタアナリシス可能だった2つのRCTについて、経穴刺鍼群vs. 通常用いない経穴への刺鍼群の4週間治療後の頭痛強度(10cm Visual Analog Scale)のMD[95%CI]は-0.81[-1.23, -0.40]であり、経穴刺鍼群の効果が有意に大きかった。発生頻度のSMDには有意差がなかった。
結 語:片頭痛については経験的に選択されてきた経穴への刺鍼の臨床的意義が示唆されたものの、不精確と異質性により確定的な結論は下せなかった。臨床的経穴特異性の検証には、選穴だけが異なる対照群を設定したRCTがもっと実施される必要がある。