日本統合医療学会誌
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総説
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策におけるサプリメント・機能性食品の安全性と有効性:ナラティブ・レビュー
蒲原 聖可
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2021 年 14 巻 2 号 p. 98-113

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抄録

SARS-CoV-2を原因とする新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がパンデミック(世界的大流行)となり、社会経済活動に大きな影響を与えている。COVID-19対策として、ウイルスへの曝露機会を減らす予防策が実践されており、ワクチン接種による一定の効果も認められている。一方、すでに感染が世界規模で拡大したこと、不顕性感染となることなどを考えると、COVID-19の根絶や封じ込めは困難である。したがって、宿主であるヒトの側でのウイルス感染への抵抗性を高める対策も重要である。

機能性食品成分では、抗ウイルス作用や免疫賦活作用、抗炎症作用などの働きが知られている。すでに、これらの成分では、COVID-19の感染罹患リスクや重症化リスクとの相関が見いだされている。また、一部の食品成分では、治療における有用性も示唆された。現時点のエビデンスを俯瞰するとき、機能性食品成分を含有する食事の摂取やサプリメントの利用を介して、生体防御機構を維持することが、COVID-19対策として重要である。

ワクチン接種による集団免疫獲得等により、COVID-19のパンデミックは収束に向かうことが期待される一方、感染力が強い変異株への懸念が続いている。さらに、新興感染症の周期的・局地的な流行は、今後も継続すると考えられる。したがって、新興感染症対策として、機能性食品成分の利活用が考慮されるべきである。

本稿では、COVID-19対策としての機能性食品成分のエビデンスを概説した。

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