抄録
乳幼児時期の概念形成に密接に関わってくる環境において、物的環境はもとより、人的環境である大人の関わりが必要となってくることは、さまざまな先行研究においても示されている。特に保育者が子どもの理解を促すための、経験の促し方や、子どもへの関わり方、情報の伝え方を意識し介入することが重要であることは、宇多川らの研究でも明らかにされている1)。本研究では、CRAYON BOOKの測定者である保育士からインタビュー調査を行い、子どもの概念形成に必要な人的環境、物的環境の必要性を定量的データ・定性的データ両方から、総合的に分析することを目的とした。パス解析の結果、先行研究同様に、環境構成は大人の関わりを通して子どもの概念形成に影響することが明らかになった。また、保育士からのインタビュー結果は、データと同様に、物的環境が変わるだけでは、子どもの概念はより良い育ちとして確認できず、理解という保育者や周囲の大人の意識活動が適切に行われることで、子ども一人ひとりの概念が形成されていくことが明らかとなった。