抄録
1990年代以後、日本では大学全入化時代が意識されはじめ、多様な価値観とニーズをもつ新入生が増え始めたことにより、大学における初年次教育の重要性は日々高まっている。しかし、「初年次教育」という用語は、最近使われ始めた用語であり、実施上での効果や影響を報告した研究も少ないことから、本研究では先行研究を基にして日本の大学の初年次教育の実施状況とそれに伴う課題について検討を行った。Google Scholar、CiNii、J-stageを用いて日本の初年次教育の課題について、資料選定基準を基に抽出した結果、計44本の論文を抽出することができた。さらに、抽出した文献を、(1)実施内容における課題、(2)実施方法における課題、(3)その他の課題で分けて検討した結果、実施内容における課題は、初年次教育のカリキュラムに関する課題や情報リテラシーに関する課題であったこと、実施方法については、初年次教育の評価やアクティブラーニングに関する課題、その他、全学的な協力体制を構築することが急務であること等が挙げられた。このことから、初年次教育の実施内容の検討や、初年次教育の評価、協力体制の構築を検討する必要があることが示唆された。