Journal of Inclusive Education
Online ISSN : 2189-9185
ISSN-L : 2189-9185
原著論文
肢体不自由特別支援学校におけるセンター的機能担当者の育成と組織的対応に関する調査
石田 修
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ジャーナル オープンアクセス

2018 年 4 巻 p. 21-35

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抄録

本研究では、肢体不自由特別支援学校で勤務する研修中の教員(以下、コンサルタント)が同校の特別支援教育コーディネーター(以下、Co)の地域支援に同行する実地研修を行い、実地研修で行った研修項目別の有効性について、コンサルタントと地域支援を受ける側である小学校教員(以下、コンサルティ)にアンケート調査をした。さらに、組織的対応の在り方を検討するため、組織的対応の利点・課題・留意点に関するアンケート調査も併せて実施した。その結果、実地研修で行った研修項目別の有効性としては、コンサルタントは「来校型地域支援」、コンサルティは「専任Coを含む特別支援学校教員による巡回型地域支援」が自身の教員としての専門性向上に役立つと回答した割合が最も高かった。また、組織的対応の利点として、視野の広がりや専門性向上が期待できる一方で、校内支援体制の構築や時間・人材の確保が課題であった。組織的対応の留意点として、コンサルタントは専門性と支援方法、コンサルティは業務の両立と連携方法に対する不安感が髙かった。これらの利点・課題・留意点を踏まえて、「校内支援体制」「時間・人材の確保」「専門性」「連携方法」の4つの観点から組織的対応の在り方を考察した。本研究の結果から、肢体不自由特別支援学校のセンター的機能においては、特に来校型の地域支援に組織的に取り組むことで、肢体不自由の専門性を発揮しやすく、校内支援体制や時間的・経費的な負担も少ないことから、通常の学級に在籍する肢体不自由児・者の「新たな学びの場」として機能し得る可能性が示唆された。

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© 2018 一般社団法人アジアヒューマンサービス学会
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