Journal of Inclusive Education
Online ISSN : 2189-9185
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原著論文
  • 韓 昌完, 沼館 知里, 呉屋 光, 照屋 晴奈
    2018 年 4 巻 p. 1-20
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル オープンアクセス
    高等学校以降の教育機関及び就労後の職場において、障害の有無によらず包括的な支援を必要としている人が増加しているにもかかわらず、自立と社会参加を見据えたキャリア形成に関する支援・指導が体系的に行われているとは言い難い状況が先行研究等から明らかとなった。そこで本研究では、高校生から成人までを対象としたキャリア形成のための評価と継続的支援を行うためのツールの開発を目的とした。すでに開発された小中学校版のIN-Child Recordを用いて、沖縄県内キャリア教育事業の実践取組指定校である3校を対象に縦断的なデータ収集を行い、回答の傾向や変化に基づき項目の修正を行った。さらに、データ収集に参加した1校の高等学校において校長を含めた7名の教員を対象に構造化された質問紙を用いて意見調査を行い、さらに具体的な項目の修正を行った。また、先行研究の分析に基づいて領域、項目の修正を行った。これらを通して、パーソナリティとキャリアの2つの分類から構成される合計100項目の尺度の試案を開発し、それぞれの領域の定義を行った。今後は試案に対する内容的妥当性、信頼性・構成概念妥当性の検証が必要である。
  • 石田 修
    2018 年 4 巻 p. 21-35
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では、肢体不自由特別支援学校で勤務する研修中の教員(以下、コンサルタント)が同校の特別支援教育コーディネーター(以下、Co)の地域支援に同行する実地研修を行い、実地研修で行った研修項目別の有効性について、コンサルタントと地域支援を受ける側である小学校教員(以下、コンサルティ)にアンケート調査をした。さらに、組織的対応の在り方を検討するため、組織的対応の利点・課題・留意点に関するアンケート調査も併せて実施した。その結果、実地研修で行った研修項目別の有効性としては、コンサルタントは「来校型地域支援」、コンサルティは「専任Coを含む特別支援学校教員による巡回型地域支援」が自身の教員としての専門性向上に役立つと回答した割合が最も高かった。また、組織的対応の利点として、視野の広がりや専門性向上が期待できる一方で、校内支援体制の構築や時間・人材の確保が課題であった。組織的対応の留意点として、コンサルタントは専門性と支援方法、コンサルティは業務の両立と連携方法に対する不安感が髙かった。これらの利点・課題・留意点を踏まえて、「校内支援体制」「時間・人材の確保」「専門性」「連携方法」の4つの観点から組織的対応の在り方を考察した。本研究の結果から、肢体不自由特別支援学校のセンター的機能においては、特に来校型の地域支援に組織的に取り組むことで、肢体不自由の専門性を発揮しやすく、校内支援体制や時間的・経費的な負担も少ないことから、通常の学級に在籍する肢体不自由児・者の「新たな学びの場」として機能し得る可能性が示唆された。
  • 太田 麻美子, 金城 晶, 梅田 真理, 韓 昌完
    2018 年 4 巻 p. 36-53
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル オープンアクセス
    IN-Childとは、包括的教育を必要とする全ての子どもを指す用語であり、IN-Child Recordとは、IN-ChildのQOL向上の観点から支援ニーズを検討する為の82項目14領域で構成されているツールである。 本研究では、IN-Child Recordの14領域を用いて、既存の論文・学会発表における指導実践を分析することで、ASD傾向のあるIN-Childに対して教育現場で行われている指導・支援方法を典型化し、課題を明らかにすることを目的とした。その結果、ASD傾向のあるIN-Childに対する指導・支援として、①保護者も含めた、学校やスクールカウンセラーとの定期的な情報共有の必要性、②スケジュールや物理的構造化の必要性、③応用行動分析の観点を含めた行動マネジメントの必要性が明らかになった。今後、ASD傾向のあるIN-Childに対する行動マネジメントの観点を決め、具体的な指導プログラムを開発する必要がある。
短報論文
  • 田仲 未来, 小田切 岳士, 森 浩平, 田中 敦士
    2018 年 4 巻 p. 54-66
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では、視覚障害特別支援学校の教員が現場で必要とされる専門性について明らかにするために、教員が必要と認識している教育や研修内容について、自由記述内容からカテゴリー化して整理することを目的とした。盲学校赴任前に必要な知識・技能や、県内の大学(専門機関)に教育研修を求める内容等について、視覚障害特別支援学校の教員を対象にアンケート調査を行った。  その結果、教員が必要とされる専門性について、「指導方法・実践・補助教材・教具」や「心理・生理・病理」、「点字・歩行」や「情報機器」といったカテゴリーに分けられ、今後求められる教育研修の在り方について課題を整理した。
  • 矢野 夏樹, 金 彦志
    2018 年 4 巻 p. 67-73
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では、教員養成課程における知的障害の心理・生理・病理に関する講義のシラバスを知的障害の診断基準の変化に基づいて分析することによって、今後の課題を導出することを目的とした。全国の国公立大学と私立大学の内、教員養成課程を有する大学の知的障害の心理・生理・病理に関する講義を解説する大学を抽出し、その講義の達成目標および授業計画を分析した。結果として、国公立23校、私立大学23校の計46校において、知的障害の適応機能に関する内容をシラバスに明記していることが明らかになった。また、記載されている内容を見ると、言語とコミュニケーションに関する内容が多くを占めており、実用的な適応機能に関してはほとんどの大学において記載されていなかった。今後、知的障害児者の実用的な適応機能に関連して、自立活動の内容を知的障害の心理・生理・病理の講義に盛り込み、シラバスに明記することが必要となるだろう。
症例報告・実践報告
  • 越智 文香, 越智 彩帆, 樫木 暢子, 苅田 知則, 加藤 公史
    2018 年 4 巻 p. 74-86
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル オープンアクセス
    肢体不自由児本人の願いを活かしたキャリア教育を進めていくために、肢体不自由特別支援学校におけるキャリア教育に対する教員の意識と課題を明らかにし、本人の願いを組み込んだ授業づくりのあり方を検討することを目的とした。肢体不自由特別支援学校教員を対象にキャリア教育に関するアンケートを実施し、キャリア教育の考え方、担当する児童生徒について、学部間比較と教育課程間比較を行った。学部が上がるほど、「将来の生活」について考えていること、夢や願いにおいて、「将来への思い」が高まっていることが読み取れた。自立活動を主とする教育課程においては、キャリア教育の視点を活かした授業づくりに対し、様々なイメージを持っている一方で、「将来につながる授業」のイメージが、他の教育課程に比べて低いことが示された。重度重複障害の子どもたちのキャリア教育においても児童生徒のライフキャリアを踏まえたキャリア教育を検討していく必要がある。また、本人の夢や願いを表出する力を高める指導を追究し、教育活動に取り入れていく必要があると考える。
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