平成時代はバブル崩壊、経済停滞により家計に対して深刻な影響を与えたと位置づけられる。しかし、多様・複雑な家計構造にどのような変化を与えたかという視点に関わる研究業績は十分とは言えない。本論文では、全国消費実態調査の匿名個票データを活用し、家計全体、特に中核的な年齢層の家計がどのような状況にあるか、その構造変化を分析したものである。分析により、所得が停滞する一方で義務的な支出増加、住宅ローン返済負担、増加する教育費負担により、特に30~50代の年齢層の家計はきわめて逼迫していることが明らかになっている。