抄録
DMP症D型は幼児に発症し, 加令成長とともに躯幹・四肢筋の萎縮・変性を来す疾患で, 呼吸器感染症による呼吸不全がその死因となることは諸家の報告にみられる.
我々は, DMP症55例について呼吸不全の観点から肺機能ならびに運動負荷に対する換気・血液ガスの応答について検索し次の成績を得た.
1)肺機能は, %VC・%MVVの低下, Pao2の低下を主体とした拘束性障害であり, 加令成長・障害度・胸椎変形の進行とともに増悪した.
肺胞低換気に至る呼吸筋力の動きは, 始め吸気筋力が低下し, 次いで呼気筋力も低下した. 胸椎側彎31°, 障害度VII度を越えると%VC40%, Pao275mmHg以下に低下し, 呼吸不全へと移行した.
2)60%>%VC>40%群では, 運動負荷による換気量の増加を呼吸数の増加に強く依存し, 速く浅い呼吸様式に変化するとともにPao2の低下, Paco2の上昇がみられた.