抄録
SLEは多臓器障害性疾患で原因不明のため, その診断には種々の診断基準が適用されている. アメリカリウマチ協会(ARA)の基準は鑑別能に優れ定評があるが, 今日まで提唱された他の基準にもまたかなりの有用性が認められる. そこで国立病院膠原病共同研究班で昭和49年集積したSLE及びその疑い例429例をARA, Stevens, MRC(英), WHO基準で吟味した結果, ARA基準該当項目数4以上263例(62%), 3以下161例(38%)となつたが, 後者のうち56%はMRC基準で, 16%はStevens基準で, 38%はWHO基準で, Definite SLEに該当した. また, MRC除外例101例中30%, Stevens除外例94例中22%, WHO除外例53例中5.7%はARA基準で4項目以上を満たした. 従つてSLEの診断にARA基準のみに依存すると正鵠を失することがある. 顕症のうち蝶形紅斑, 関節炎, LE細胞(抗核抗体), レイノー現象, 蛋白尿, 白血球減少は有力な診断根拠となる.