医療
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最近3年間における産科救急の実態と今後の問題点
安部 宏津田 裕文下村 雅伯長末 直樹西尾 紘明田中 喜重郎松永 隆元深川 公一徳安 みどり藤本 俊阿部 俊弘井手 信
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1977 年 31 巻 7 号 p. 667-675

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抄録
最近における産科救急の重要性にかんがみ, 本院において最近3年間に経験した救急患者の実態について調査し, 今後の問題点について検討したので, その大要を報告する.
1) 子宮外妊娠(86例)ほとんど院外からの急患で予後は全例良好であつた. 2) 出血(42例)前置胎盤が大多数(36例)で, うち27例が院外からの急患であつた. 母体の予後は良好であつたが児死亡は5例あり, いずれも低出生体重児であつた. これに反し, 弛緩出血, DICなどは極めて少数であつた. 3) 妊娠中毒症(12例)並びにその特殊型(12例)いずれも重篤かつ複雑な病態を呈し, ほとんどが急患で, 母体死亡は無いが児の予後は不良であることが注目された. 4) 合併症心疾患, 消化器疾患合併例を若干例経験した.
以上産科救急の実態から, なお不完全な点は強力な行政レベルで再検討されるべきであり, 更にHigh risk pregnancyと密接な関連があることから, 妊婦管理の一層の充実, 徹底が望まれる.
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© 一般社団法人国立医療学会
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