抄録
我々の“麻酔中循環動態判定における判別関数”を客観的尺度に用い, 救急手術の麻酔としてのGOPD法の評価を行つた. GOF及びN2O+筋弛緩剤法を対照として, 急性腹症の開腹術例について比較した.
判別関数は次式により得られる.
Z=4×R'SBP+6×RSBP+5×RPR
(RSBP―経過中収縮期圧最大最小差, RR"SBP麻酔導―入後半でのR値, R踏―経過中心拍数の最大最小差)
Z<527は安定, Z≧527ならば不安定である. 結果として, GOPD法にPancroniumを用いた群と, 対照群にAlcuronium, SCCを用いたものの比較となつた.
GOPD群では安定, 不安定の比は, 18: 15, 対照群では12: 25であつた. 判別得点平均はGOPD540.00に対し, 対照群618. 38であつた. x2検定, t検定でともにP=0.07でGOPD群はより安定な傾向が見られた. GOPD法は救急手術の麻酔として用うべき方法の一つであると判断された.