医療
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屍体血の各種血清値の変動
―死体血検索の意義―1. 死後採血までの時間的因子
森脇 昭介千光 士智山本 陽子山内 政之宇佐 美孝子木村 広利野村 昌司河野 康之竹内 みどり白上 清文木藤 慶子松本 幹登
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1978 年 32 巻 2 号 p. 168-173

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抄録
屍体血の諸検査は法医学的, 臨床的, 臨床病理学的立場など, 目的は異なるが, それぞれの分野で独立して行われている. 臨床病理学的には死因解明の一助あるいは生前の状態の把握などを目的とした研究がある.
私達は約9年間の500例の剖検例について各種生化学的検索を行つた. 死体血は種々の因子の影響をうけているが, 今回はまず死後時間経過との関係をみた.
死後時間を推測しうる程規則的な変化をするものはなかつたが, 死後変化が少なく十分病理解剖上参考になるものにKを除く電解質, 蛋白やその分画, Cholesterolなどの脂質があり, 死後急速に高値を示すものにK, 各種酵素など, 血清中より赤血球に多く含まれるものにその傾向が著しい. Na, Cl, Cholinesterase, Bilirubinは低値を示す傾向がある. 今後各因子について検討し, 死体血検索の意義を解明したい.
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© 一般社団法人国立医療学会
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