2017 年 37 巻 3 号 p. 427-430
症例1:73歳男性。早期胃癌で腹腔鏡補助下胃全摘術(以下,LATG),D1郭清,結腸前Roux-en-Y再建施行後1年3ヵ月経過。突然の腹痛を認め,当院受診。CTで左上腹部に拡張した腸管と腹水を認め絞扼性イレウスを疑い緊急手術を施行した。術中所見ではPetersen's defectに小腸の陥入を確認し整復を行ったところ色調の改善が得られ,腸切除は行わず手術を終了した。症例2:68歳男性。LATG,D1+郭清,結腸後Roux-en-Y再建施行後2年で腹痛を認め,当院を受診した。CTで上腸間膜動脈を中心としたwhirl signと拡張腸管の造影効果の減弱を認め,絞扼性イレウスを疑い緊急手術を行った。術中所見ではPetersen's defectに肛門側の小腸が陥入し内ヘルニアを起こしていた。整復により色調の回復を確認したため腸切除は施行せず手術は終了した。Petersen’s herniaは腹腔鏡下手術の件数増加とともに報告例が急増しつつある病態でありPetersen's herniaへの今後の対応を検討するため文献的考察を加え報告する。