医療
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精神分裂病者の睡眠障害に対する向精神薬併用中のニトラゼパムの効果について(続報)
―ニトラゼパムの連用が精神症状に及ぼす影響について―
田中 潔上田 肇赤松 哲夫福間 悦夫
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1982 年 36 巻 6 号 p. 550-556

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抄録
入院中の精神分裂病者で, 急性症状が軽快した患者のうち, 就寝前薬としてニトラゼパム単剤かニトラゼパムと抗精神病薬が併用されている者に対して, ニトラゼパムの連用が精神症状に及ぼす影響について, open trial法(8週間)で検討した. その結果, 対象者17名(平均年令36.5才, 平均罹病期間13年7ヵ月, 今回平均入院期間3年3ヵ月, 今回平均ニトラゼパム服薬期間2年)で, 全例が8週間の治験を終了できた. そのうち12名でニトラゼパムをプラセボに置換したため, 時々不眠がみられた. また精神症状についてみると, 8週目の総合評価では, 改善2名(11.8%), やや改善3名(17.6%), 不変11名(64.7%), 悪化1名であつた. 改善群に関与する要因として, 年令は30才未満の若年者で, 入院期間も1年未満の短いもの, ニトラゼパムの服薬量は1日量5mgで, その服薬期間は3ヵ月未満のものの方が改善群に与える影響が強く有意差がみられた. 症状別には, いずれの項目も不変が目立ち, 精神症状評価点の時間的推移で, どの項目もほぼ平行線を呈した.
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© 一般社団法人国立医療学会
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