医療
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膀胱癌に対する新しい動注療法の試み
三軒 久義吉田 利彦山田 龍作山口 真司
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1983 年 37 巻 12 号 p. 1197-1200

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抄録
進行膀胱癌の治療法として内腸骨動脈の血流を両側同時に遮断したのち, 抗癌剤を注入するという新しい選択的動脈内注入療法を考案した. 局所麻酔下に両側大腿大動脈を穿刺し, Seldinger法に準じて特殊なバルンカテーテルを挿入し, X線透視下にその先端を同側の内腸骨動脈内に両側同時に挿入する. バルンを拡張させて血流を一時的に遮断したのちに, それより末梢側の動脈内に抗癌剤を注入する. 注入液としてCDDP50mgとADM30mgを使用した. 本法を多発性または浸潤性膀胱癌8例に施行したところ, 著効4例, 有効3例, 無効1例と満足すべき結果であつた. 従来の抗癌剤投与法と比べて, 高い効果が得られる上に, 経皮的に行えるため患者への侵襲が少なく, 反復して施行でき, 手技的にも容易である, などの利点がある.
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© 一般社団法人国立医療学会
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