1984 年 38 巻 6 号 p. 582-587
肺結核症の血流および換気からみた機能障害の遺残を知るため, 40名の肺結核症患者(学研C, D, F型)と10名の過去に胸郭成形術を受けた患者を対象として, 全例に99mTcシンチを, 14名には81mKrシンチを行い, 定量的にレ線障害度とシンチの関係をみた.
その結果, 1)特に肺血流シンチでは肺結核症の遺残をよく証明した. 2)血流シンチの障害程度は病初期の病巣の程度をよく反映した. 3)胸成者や荒蕪肺の, 呼吸不全あるいはその予備状態の理解や, 遺残巣での繰り返し感染部の説明にも有用であつた. 4)重症例については換気血流共に欠損を示したが, 軽度ないし中等度のものは血流障害の方が強いものが多かつた.