医療
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バルーンカテーテルを用いた選択的腹腔, 上腸間膜動脈造影の膵血管造影に対する有用性の検討
古川 勇一
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1984 年 38 巻 8 号 p. 775-781

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抄録
腹腔動脈および上腸間膜動脈の選択的動脈造影による膵動脈造影能の改善を目的として, 16例に一側動脈に限つて, 造影剤注入時, 造影剤注入動脈基部をバルーンカテーテルで閉塞して造影を行つた. 得られた膵動脈造影像について, 同一患者の通常法による両動脈の選択的動脈造影で得られた膵動脈造影と比較像し, 有用性を検討した. 通常法による選択的動脈造影では, 超選択的動脈造影による膵動脈造影能に匹敵する(卅)造影能は膵動脈全体で25%に認められたに過ぎなかつたが, 閉塞を用いた造影では, 61%と通常法に比してはるかに高率を得た. また腹腔動脈基部を閉塞した造影では, 約半数に膵体尾部相当領域に重畳して膵血管造影診断の妨げになることが多い, 左胃動脈の完全閉塞も合わせ得ることが出来た. 造影剤注入動脈基部閉塞併用下での選択的動脈造影は手技が簡単, 容易であり, また安全でもあり, 膵動脈造影に有用な検査法であることが示された
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© 一般社団法人国立医療学会
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