医療
Online ISSN : 1884-8729
Print ISSN : 0021-1699
ISSN-L : 0021-1699
結節性甲状腺腫の新鮮割面肉眼像
樋口 公明
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 39 巻 2 号 p. 115-121

詳細
抄録
甲状腺の結節病巣の肉眼像所見は外科医にとり, 術中組織型の判定のみならず, 肉眼型により転移状況に差があり, 術式の選定からも更に関心と理解が持たるべきである. しかしこれに関する文献は乏しく, 特にまだ可動制限の無い時期の悪性病巣(T1-3)と良性との相違を明記したものをほとんどみない. 著者は自験の径1cm以上の457結節性病巣を資料に, T1-3相当例を主眼にこの比較を試みてきた. 識別を容易にするため症例数が多く, また比較的鑑別しやすいコロイド腺腫を腺腫様結節として腺腫と区別し, また肉眼型を嚢胞性, 充実型を被膜の有無, 更に無数多発などにより6型に大別した. T1-3の悪性例には従来の知識に比べ充実性被胞型例が多いが, 疾患毎に各型に分布差があり, 各型につき更に観察すると疾患毎の相違が充分伺われる. 肉眼像の表現には感覚的要素が多く, 今後更に改善に努めたいが, 今日までにまとめたところを報告する.
著者関連情報
© 一般社団法人国立医療学会
次の記事
feedback
Top