抄録
神経特異たんぱく質の一種である神経特異性エノラーゼ, 及びS-100たんぱく質の抗体を用い4種の脊椎動物の嗅粘膜上皮における免疫組織学的検索を行つた.
神経特異性エノラーゼ抗体によつて, ヒト嗅上皮に陽性に染色される細胞がみられた. サルでは, 疑陽性の反応がみられた. ウサギ, ラツトでは染色されなかつた.
S-100たんぱく質抗体では, ウサギ嗅上皮に陽性細胞がみられた. さらにSubunit抗体による染色で, α-Subunit抗体に対し陽性細胞がみられた. ラツト, サルでは疑陽性であつた. ヒトでは嗅上皮に陽性細胞はみられなかつたものの, 粘膜下嗅神経系のSchwann細胞が陽性に染色された.