抄録
キシロカイン内耳麻酔による耳鳴りの治療は, 目新しい課題ではない. 前投薬の後, 4%キシロカイン1mlを用いて, 鼓室内薬液注入と同じ要領で行う内耳麻酔の手技と, それによる耳鳴りの軽減効果については, すでに文献も散見される. しかし本法は普及しているとはいい難い.
著者は市中病院において昭和58年1月上旬から59年3月下旬までの間に, 50症例70耳に内耳麻酔を適用した.
本稿では内耳麻酔による治療効果もさることながら, 本法についての予備知識が全くない環境(患者本人, その家族, 病棟看護婦, 他科の医師)の中で, この治療法を実施するためのノウハウについて述べた.
加えて, 従来内耳麻酔実施以前には判断が困難であつた治療効果の見通しについては, 聴力損失が軽度で, 温度眼振反応の良好な症例において良い改善率を得ることができることを明らかにした.