医療
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アルコール依存症者の血小板機能に関する検討
―特に禁酒後の凝集能の推移について―
今関 ひろみ鈴木 宏林 恵美子永田 茂之高木 敏重田 洋介河野 裕明荒井 正夫揖斐 正敏田中 治子永井 忠細田 佐喜男
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1985 年 39 巻 7 号 p. 591-596

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抄録
アルコール依存症者では, 禁酒により, 静脈血栓・肺血栓及び脳血栓などが引き起こされることが報告されている. そこで長期にわたり過剰アルコール摂取を続けているアルコール依存症者の血小板機能(血小板数・凝集能・粘着能・血小板特異蛋白)について検討した. 禁酒直後では, 血小板数の減少と共に, 凝集能の低下が認められたが, 禁酒1週間以後では血小板数の改善と共に, 血小板凝集能の改善がみられ, 4週間後ではむしろ, 亢進状態が認められた. 血中β-thrombo910bulinや血小板第4因子は, 禁酒直後, 既に高値を示し, 禁酒により更に増加傾向を示した. 粘着能は健常者との間に差は認めなかつた. 以上より, アルコール依存症者では禁酒により, 血小阪凝集能の亢進状態が引き起こされ, 易血栓形成状態になり, アルコール依存症者の各種臓器障害の発生と関連している可能性が推察された.
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© 一般社団法人国立医療学会
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