1986 年 40 巻 10 号 p. 943-946
昭和58年4月より59年3月までの1年間に, 国立横須賀病院外科を受診した交通事故に起因した意識障害を伴つた多発外傷患者のうち, 尿管ないし膀胱に損傷のあつた2症例を経験し, 術前にその損傷を知りえたので, 緊急手術によつて共に救命しえた. このような救急患者に対する当院における診療手順を呈示し, 多発外傷患者に血尿がみられたときの対応について述べ, 静脈性腎盂尿管造影, 膀胱造影ならびに腹部CT検査などの画像診断が, 緊急検査として有用であり, 患者の重症度, 緊急度を考慮し, 他の検査法との利害得失を比較し, 積極的に選択してよいものと考える.