抄録
筋緊張性ジストロフイー症の34才男性で, 骨格筋線維化の評価がThallium-201骨格筋シンチグラフイーにより可能と考えられた1例を経験した. 本症例は左下肢のわずかな筋力低下がみられたが, 筋萎縮, 筋線維束攣縮はみられず, 両側の足背動脈はよく触知した. 201T12mCiを静注後, 対向型ガンマカメラおよびオンラインで接続したデータ処理装置を用いて体前面および背面より同時に頭側から尾側へ15分間スキヤンし201T1の全身分布像を撮像した. ついで体前後面像の各画素カウントを相乗平均し, 201T1全身分布像を画像再構成した. 201T1全身分布像上, 肩甲筋群, 三角筋, 殿筋群部位では分布が対称であつたが, 筋力低下がみられた左下腿部は明瞭な灌流欠損となつていた. 本症例の骨格筋病変は軽度であつたが2201T1全身分布像では明瞭な灌流欠損として認められ, 201T1骨格筋シンチグラフイーは四肢筋病変の早期診断, 重症度判定などに役立つ可能性があると考えられた.