抄録
11年間に29例の進行膵癌に術中照射療法を行い, 17例には外部照射を追加した. そのほか5例に外部照射のみを施行した. 生存期間の中央値は限局型が7.2ヵ月で, 浸潤型および転移型に比し有意に延長した. 術中照射に外部照射を加えた群は術中照射のみの群に比べ, 中央値は延長したが有意差はなかつた. 放治群はバイパス術+化療群およびバイパス単独群に比し, 中央値が延長したが有意差はなかつた. 腹痛または背部痛に対する除痛効果は83%に, 腫瘤の縮小は52%にみられた. 末期に消化管出血を起こし, 剖検で消化管にびらんや潰易をみた例は, 放治群では20%で非放治群では6%であり, 前者の原因の一部には放射線後期障害によるものがあると思われた.