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悪性腫瘍の骨転移
―頭蓋骨転移症例の検討―
恩田 純児玉 安紀勇木 清江本 克也野崎 公敏
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1989 年 43 巻 3 号 p. 300-306

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抄録

1984年から1986年までの3年間に国立呉病院で骨シンチが行われた悪性腫瘍631例について, 骨および頭蓋骨への転移頻度を調べ, また1978年から1987年までの10年間に同脳神経外科で治療した転移性頭蓋骨腫瘍9例についてその臨床的特徴を調査し検討した. 悪性腫瘍全体の骨転移率は31.2%, 頭蓋骨転移率は6.2%であつた. 骨転移率は原発臓器により異なつていたが, 骨転移症例中に占める頭蓋骨転移症例の比率には差がなく, 骨格の中で特に頭蓋骨に転移しやすい原発巣はないものと考えられた. 頭蓋骨への転移経路としては大循環系を介した血行性転移経路が主体をなすものとおもわれた.
転移性頭蓋骨腫瘍の治療としては可能であれば外科的切除が行われるべきであるが, 高率に他臓器転移および多発骨転移を伴つており, 手術適応の決定には十分な全身検索が必要である.

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