2019 年 68 巻 3 号 p. 553-558
現在,尿中マンデル酸は複数の高速液体クロマトグラフィー分析装置(以下,HPLCと略す)で検査を行っており,各HPLCの精度管理データから号機間精度,日間精度,併行精度,室内精度の推定は,欠側値(一部の分析装置稼動の場合)があり,枝分かれ分散分析法の解析は困難である。そこで,不揃いなデータでの枝分かれ実験の複数誤差の同時推定が可能な制限付き最尤法(restricted maximum likelihood; REML)の解析を試みた。REML法では号機間精度,日間精度,併行精度,室内精度の推定ができ,低濃度(0.30 g/L),高濃度(0.96 g/L)のコントロール検体での室内精度はC.V.が2%以下で良好な結果を得た。これらの結果より,複数装置で欠測値のある精度管理法において,REMLが有効な解析手法であった。