医療
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消化器症状を伴つたEmpty sella syndromeの1例
加古 健片岡 政人近藤 建梅田 哲正黒柳 弥寿雄
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キーワード: 内分泌異常
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1989 年 43 巻 5 号 p. 577-580

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抄録

患者は34才女性, 中肉中背, 2回の出産経験あり. 昭和54年2回目の出産後2年経過して無月経となった. 昭和60年9月下旬より, 心窩部痛, 〓気, 全身倦怠感あり, 当初各種消化器系の検査を施行するも異常所見を認めず. ときどき頭痛ありとのことで, 頭部X線写真にてトルコ鞍のballoon like sellaを認め, トルコ鞍CTとともにempty sellaと診断した. 下垂体機能を検査すると, 甲状腺機能, 性腺機能低下を認めた. そこでT3 75μg/dayを投与開始し1カ月後には心窩部痛, 〓気は消失し, 倦怠感もなくなつた. その後性腺機能は回復の傾向を示し, T3投与2年半で, ほぼ正常の月経を認めるようになつた. 内分泌異常を示すempty sella syndromeは比較的めずらしく, また主訴が消化器症状で, 性腺機能低下が自然に回復した症例を報告した.

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