1990 年 44 巻 2 号 p. 130-135
新生児の中枢神経障害の診断, 程度, 予後を推測するため, 髄液NSE, 髄液LDH, 髄液CPK, 血清CPK, 血清CPK-BBについて検討した. 頭蓋内出血, 新生児仮死, けいれん, 髄膜炎などの中枢神経障害全体で検討してみると, これらのマーカーすべてが, 正常群と比較し有意に高値を示した. 個々の疾患について検討してみると, 頭蓋内出血では髄液NSE, 髄液LDH, 血清CPKが, 新生児仮死では髄液LDHが, けいれんでは髄液LDH, 血清CPKが正常群と比較し有意に高値を示していた. 予後との関連では, 髄液NSE, 髄液LDHにおいて脳性まひ群は正常群と比較し有意に高値を示し, 精神発達遅延群では有意差は認めなかつたが, 正常群と比較し高値であつた.
以上より, 髄液NSE, 髄液LDHは新生児中枢神経障害の診断や予後判定に非常に有効なマーカーと考えられる.