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小児側脳室内髄膜腫の1例
石倉 彰池田 正人大日方 千春前川 宗一郎吉田 康洋池尻 公二
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キーワード: 髄膜腫, 側脳室, 小児
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1990 年 44 巻 2 号 p. 182-185

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抄録

小児側脳室内髄膜腫の1例を報告した. 症例は14才少女で, 痙攣発作を初発症状とした. 入院時, 右の軽度不全片麻痺と緩徐言語がみられた. CTスキヤンやMRIにて左側脳室三角部に均一に造影される腫瘍像をみ, 脳血管写で, 前・後脈絡叢動脈の拡大増生と偏位を認めた. 左中側頭回経由で脳腫瘍全摘出術を施行した. 組織診断はmeningothelial typeの髄膜腫であつた. 術後経過は良好で, 半盲は出現せず, 右不全片麻痺や緩徐言語の改善がみられた. 側脳室内髄膜腫はまれで, 全髄膜腫の1~2%にすぎない. 14才以下の小児に限るとさらにその頻度は少なくなる. 腫瘍は側脳室内に存在するため症状の出現が遅く, かなり大きくなつて初めて診断されるのが一般的である. しかし, 今日, CTスキヤンやCUSAなど医療器械の進歩で早期診断, 早期治療が可能となつた. 側脳室内髄膜腫について文献的考察を加えた.

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© 一般社団法人国立医療学会
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