抄録
昭和60年11月から昭和61年10月までの1年間に外来通院の形で施行した白内障手術(人工水晶体挿入術を含む), 109例119眼について報告した. 術後成績には, 入院と外来通院とでは差はなかつた. また外来通院によると考えられる合併症はなかつた. 最近, 我が国では白内障の外来通院手術がマスコミを通じて盛んに喧伝されているが, 社会学的・経済学的見地からは, まだまだ多くの問題をはらんでおり, 慎重に構えるべきである. 日本の現状では, 白内障外来通院手術は患者の全身状態に問題がなく, 患者に強い希望があつて, 通院できる距離に住んでいるか近くに宿を確保できる患者に限定すべきである.