抄録
気管支喘息, COPD, 過換気症候群, 胸痛または胸部圧迫感及び原因不明の呼吸困難を呈する患者総計120名にCMI, MAS及びSDSの心理テストを行い分析した. CMIで神経症傾向の強いIII領域とIV領:域の合計の割合ば, 気管支喘息(61.0%)が胸痛または胸部圧迫感(34.4%)の患者に比して有意に高い. SDSでは, うつ傾向の強い50以上は各疾患群で有意差はなかつた. また, MASで高不安群の25以上は, COPD(46.2%)が胸痛または胸部圧迫感(10.3%)の患者に比して有意に高率であつた. 向精神薬として投与したtofisopamは, 過換気症候群の80%に有効であるのに対し, COPD(28.6%)や気管支喘息(3.8%)では無効のことが多く, 心理テストの結果としての関連では, SDSで49以下, MASで24以下, CMIのI群に対し他の群より有効率が高かつた. 向精神薬が無効の場合, カウンセリングや一般心理療法が有用のことがあつた. 我が国におけるプライマリーケアにも言及した.