医療
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呼吸器疾患患者の心理学的検討
―プライマリーケアに向けての一助として―
浅本 仁故倉 恵川上 明藤井 秀俊小沢 佳広四方 弘美山田 敦子安部 文子
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1990 年 44 巻 4 号 p. 385-390

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抄録
気管支喘息, COPD, 過換気症候群, 胸痛または胸部圧迫感及び原因不明の呼吸困難を呈する患者総計120名にCMI, MAS及びSDSの心理テストを行い分析した. CMIで神経症傾向の強いIII領域とIV領:域の合計の割合ば, 気管支喘息(61.0%)が胸痛または胸部圧迫感(34.4%)の患者に比して有意に高い. SDSでは, うつ傾向の強い50以上は各疾患群で有意差はなかつた. また, MASで高不安群の25以上は, COPD(46.2%)が胸痛または胸部圧迫感(10.3%)の患者に比して有意に高率であつた. 向精神薬として投与したtofisopamは, 過換気症候群の80%に有効であるのに対し, COPD(28.6%)や気管支喘息(3.8%)では無効のことが多く, 心理テストの結果としての関連では, SDSで49以下, MASで24以下, CMIのI群に対し他の群より有効率が高かつた. 向精神薬が無効の場合, カウンセリングや一般心理療法が有用のことがあつた. 我が国におけるプライマリーケアにも言及した.
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© 一般社団法人国立医療学会
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