医療
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ごく少量の腹水の検査によって診断された腹膜偽粘液腫の1症例
堤 卓也矢毛石 陽一伊藤 鉄英瀬尾 洋介若杉 英之園田 文孝勝田 彌三郎
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1992 年 46 巻 11 号 p. 894-897

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抄録
エコーガイド下穿刺にて得た1滴の粘液性腹水が診断の契機となった腹膜偽粘液腫を経験したので報告する. 症例は64歳の男性で右下腹部の圧痛と軟便傾向を主訴に当院受診, 腹部US, CT検査にて少量の腹水貯留が認められ精査入院となった. 血清CEA 11.1ng/ml. 腹腔穿刺では, 穿刺針内に1滴の粘液性腹水が得られたのみであったが, 細胞診の結果はClass IIIbであった. そこで粘液腫を疑い, 逆行性大腸造影, 経口小腸造影, 骨盤腔CTを行って虫垂原発の腹膜偽粘液腫と術前診断し得た. 手術にて回盲部切除, 糖液による腹腔内洗浄を行い, 化学療法としてCDDPの腹腔内投与を行った. 経過は順調で2年を経た現在再発の兆しなく外来観察中である.
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© 一般社団法人国立医療学会
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