医療
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昇圧癌化学療法が奏効した多発性肝転移を伴う肛囲Paget病の1例
高橋 直典今村 幹雄国井 康男
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1992 年 46 巻 12 号 p. 1000-1003

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抄録
肛囲Paget病に肛門直腸癌の多発性肝転移を伴った症例に対してAngiotensin-IIによる昇圧癌化学療法を施行した. 66歳, 女性. 肛門部痛および排便時出血あり. 入院時, 肛門ポリープおよび肛門周囲の湿疹様病変あり, 血清CEA, CA 19-9, CA 125値の上昇を認めた. 超音波およびCT検査にて肝臓に多発性腫瘍陰影を確認. 肛門病変の生検にて乳房外Paget病と診断され, 肛門ポリープの上皮下に低分化型腺癌を確認した. 肝生検でも印環細胞型の低分化腺癌と診断された. 切除不能と判断し, 昇圧癌化学療法を施行. MMC (10mg/body day 1), 5-FU (250mg/body day 1~5, 10~14), CDDP (100mg/body day 10)を4週間毎に投与す. 2クール終了後, 血清CEA値下降, 病変部の縮小, 症状の改善がみられた. 退院し, 外来通院して治療を続けたが, 診断より1年後肝不全にて死亡した.
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© 一般社団法人国立医療学会
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